第75話 リースバックの相談

みなさん、こんにちは。株式会社Cozy Consulting 代取の坂口です。

今回が、第75回目のコラムになります。

第75話は、「リースバックの相談」と言う話です。

年始に銀行の同期と久しぶりに飲む機会がありました。その際にその同期から親の自宅のリースバックの相談を受けた話です。

父親の介護が必要な状況となり、少しまとまったお金が必要になった。ついては自宅をリースバックしてお金を作るのはどうかという話です。

自宅物件は東京18区内で最寄り駅徒歩10分圏内の築30年の戸建です。住宅地で物件の属性としては申し分のない良質物件です。本人は将来相続でもらうことを想定しています。

開口一番、私はリースバックの利用はよろしくないと意見しました。いったん売却してしまうので、売却してしまうと活用の選択肢がなくなることが一番の問題です。

最近はリースバックを様々な不動産会社が取り扱いを始めており、玉石混交です。
親身になって顧客よりの業者は存在するでしょうが、多くの会社は仕入れの一環として取り扱っており、顧客よりの業者は多くないと思います。

彼には、リースバックをお薦めしない事由を3つほど話しました。

第一に、売却価格が低くなるとです。賃貸となることを前提にすれば、売却価格は実需価格ではなく利回り価格になります。一般的には実需価格の6割から7割でしょう。そんな安い価格で販売するのはもったいないです。

売却価格が安い一方、その後の賃料は一般の賃料よりも高く設定されます。設備が壊れた場合家主の負担となる為、その分のリスクが家賃に上乗せされて高くなります。ずっと住み続けられても、だいたい8年ぐらいで受領した売却代金は費消することになります。

第二に、ずっと住まい続けると言ってますが、冷静に賃貸借契約をみて頂きたいと思います。通常は2年から3年の定期借家契約になっていることがほとんどです。家主側から契約解除できる契約内容であり、ずっと住み続けられるというのは契約上担保されていないのです。

第三に、買い戻すことができるとうたっていますが、買い戻す時は実需価格になり、たいていの場合、売った価格よりも高くなります。場合によっては業者の利益も乗った場合、思った以上に高くなります。安く売って、高く買い戻すという変なことになるのです。

以上のリースバックをお薦めしない事由を説明しました。

じぁー、今回の資金需要にどう対処するか?

お薦めしたのは、銀行のリバースモーゲージです。

リバースモーゲージは、銀行が評価する担保価格の6割から8割までお金を融資してくれます。

親が年齢を重ねると融資枠は広がる銀行があります。なぜそうなるかは説明しませんが、そうなんです。

融資金は存命中は利息のみの支払いで、亡くなってからその自宅を処分して返済するか、別途相続人の他の資金で返済は可能です。ここで注意しないといけないのは、リコース型とノンリコース型があります。銀行によってタイプが異なります。

メガバンクなどはリコース型ですが、ノンリコース型の銀行もあります。違いは、連帯保証人を取り、担保物件の処分で残債務が残った場合、連帯保証人からきっちり全部返済してもらうのがリコース型です。

一方、ノンリコース型は原則、法定相続人を連帯保証人に取ることはなく、担保物件の処分だけで融資の返済が完結することです。

担保物件の処分金が融資金を上回る場合は、その分を相続人に返却します。逆に、処分金が融資金に満たず融資の残債務が残った場合、銀行は残債務の返済を求めないという特徴があります。損は銀行がかぶるのです。

自宅不動産の所有権を維持し、ローンと言う形で資金調達することは可能です。その自宅にずっと今まで通り住み続けることができます。

友人には、リバースモーゲージの利用を進めました。ノンリコース型で存命中の利息返済も実質ゼロにできる銀行も紹介しました。物件の立地勘案、おそらく利用可能だろうと思います。

リースバックもリバースモーゲージも、長生きリスクには対応は難しいです。最後は任意売却して全額現金に換える必要があるかもしれません。然し、その場合でもリバースモーゲージは金額的に有利になります。

今日はここまでにしておきます。
最後までお読み頂いて、ありがとうございました。