第29話 富裕層個人からの相続対策の相談

みなさん、こんにちは。株式会社Cozy Consulting 代取の坂口です。

今回が、第29回目のコラムになります。

第29話は、「富裕層個人からの相続対策の相談」について、話をしたいと思います。

銀行時代に親しくさせて頂いたある富裕層個人(奥様)のお客様から相続対策について相談を受けました。私はすでに銀行員ではないので、いちコンサルタントとしての意見をご助言しました。

相談内容は次のようなものでした。

「坂口さん、ある銀行と建設会社が一緒に自宅に来て、相続対策で木造の賃貸アパートを借入で建て、相続対策をしてはどうかと言ってきた。

200坪の更地(未利用地)にアパートを2棟建てるというもので、建築資金は全額35年のアパートローンで銀行が貸してくれる。

土地は貸家建付地の評価減で相続財産としては圧縮される。建物は相続財産になるが相続税評価額は固定差資産税評価額で済む。ローンがあるので負債となり、より相続財産を圧縮する効果があると。

また、返済は家賃収入で賄えるというもの。採用してもよいか」との相談。

奥様は地主さんの家に嫁いでこられた方。ご主人はすでに他界。子供は男女1人づつ2人いる。娘は専業主婦。息子は普通の会社員とのこと。奥様としては、先祖代々の土地であり自分の代で手放さずに何とか持ちこたえ、子供の世代に残していきたいとの意向。

提案されたスキームは、銀行と建設会社がタイアップして提案してくる典型的なパターン。昭和の時代を思わせるスキームです。

私は奥様に次のように回答しました。

「私見としてはこのスキームはお薦めしません。相続対策がうまくいったとしても35年の多額の銀行長期債務と木賃アパート2棟の経営という荷物が2人の子供に残ります。

相続後、子供たちに大きな負担が残ります。木賃アパートなので古くなれば空室リスクも高まるでしょうし、10年単位で大きな修繕も必要になるでしょう。

他の相続対策の手法がないのか、そもそも相続税にどの程度の税金がかかるのか?相続発生後に子供たちに負担が残らない形で相続対策を打てないかを、子供たちも巻き込んで税理士に相談してみてはどうか」と回答。

また、以下の助言も実施。

「例えば、50年から60年の定期借地権付きの分譲マンションを建てて土地を貸して、地代を得るとかで土地を手放さずに持ち続ける。

相続税を試算し、現預金や有価証券、生命保険金でいくら不足するのか、不足分を今のうちから他の不動産を売却するなどして手当するとか考えてみてはどうか」

私の知り合いの税理士に相談をするように誘導。

「安易に銀行借入付きの木賃アパートの建築による相続対策に進まないように慎重に動いた方がよい」と助言。

最近は高齢者を対象にした安易な相続対策スキームを提案してくる事例が多いように感じます。富裕層個人の方々は、慎重に検討すべきだと感じます。

今日はこの辺で終わります。