第4話中小企業経営者のためのコラム

みなさん、こんにちは。株式会社Cozy Consulting 代表の坂口です。

<第4話がいつのまにか、表記されていませんでしたので、再表記します。>

<当初掲載日:2023年4月4日>


今回が、第4回目のコラムになります。最近感じている事や、面白い話、興味の沸く話題があれば、それを題材に皆さまにお伝えしていこうと考えています。

第4話は、「中小企業における組織作り、人材育成の難しさ~その4」。

私事ですが、従前、ご指導させて頂いた会社との契約が3月末で終了し、現在、進捗中の経営助言については、今後、スポットで継続させていただく事になりました。

ついては、今後、ご説明させていただく内容は、今後、取組もうとしていた追加の内容になりますので、お含み置き下さい。

今回は、「銀行借入残高カード」の作成について、お話します。

この資料は、会社の経理部や経営企画部で作成し、経営管理資料として、社長や経営幹部、一部のコアメンバーで情報を共有し、今後の銀行施策に反映させます。

過去2年分の月末時点の銀行別借入残高、及び借入シェア、を算出し、同時に、前9月末残、前3月末残との増減を比較していきます。

主力銀行、準主力銀行、付合銀行以下は、メガ、第一地銀、第二地銀、その他銀行、ノンバンク等で、借入残高の多い順番に並べて資料を作成します。
金額単位は、百万円単位、小数第一位で把握していきます。

この表の作成でどういう事がわかるかというと、ズバリ各銀行別の貸出姿勢です。特に主力銀行、準主力銀行の借入残高のボリューム推移、シェア推移、9月末残、3月末残との増減は注意してみる必要があります。

付合以下の銀行は、上位の主力銀行、準主力銀行の貸出姿勢には敏感であり、時間をかけて残高やシェアが逓減しているような傾向が認められると、同じような反応を見せるようになります。

付合以下の銀行は、どうしても主力、準主力銀行よりも御社に係る経営情報の入手に関し、入手できる量及び質とも劣るので、「自分たちが知らない悪い経営情報を上位行は掴んでいるから、貸出残高、貸出シェアを逓減させているのではないか、と疑心暗鬼になるのです」。

そうなると、付合行は、わからないまま、貸出残高や貸出シェアの維持は難しいと判断し、上位行につられて、残高を逓減させるような動きに出てきます。

そうなると、全体の借入残高が減少してくるので、調達面で苦労する事態に陥る懸念がでてきます。

このような銀行の無用な動きを早期に把握するために、主力行、準主力行の借入残高の推移に注意を向ける必要があります。

また、もう一段の工夫として、以下の3つのポイントを併記すると、より深い分析ができます。

① この表に各銀行別の差入担保の評価額を表記し、担保評価額―借入残高=信用借入残高(保全バランス)を表記すると、一層の深い分析になります。

銀行別に御社の信用(無担保)でどれくらいの貸出をしているかを把握できます。

② 各銀行別に月末時点の全預金額、及びウチ定期預金額を表記します。全預金額は、預金シェアを算出し、借入シェアと見比べる事ができます。
定期預金(固定性預金)は、銀行に期限の利益がありますので、担保差入していなくても、銀行は実質担保としてみています。

この定期性預金と保全バランスを比較して、実質的に銀行がどれくらいの信用貸出があるのかを把握できます。

③ 手形で商売をされている場合、手形の取立て依頼月末残高を、銀行別に把握できるように表に追記します。
手形取立残高は、銀行から見れば、取立て事務には、「商事留置権」があり、いざとなれば、銀行はその権利を主張し、手形の現金化と同時に貸出金との相殺を行えます。
銀行から見れば、実質的な担保として認識できるのです。

この手形の取立額の月末残と保全バランスを比較して、銀行別の実質的な信用借入の把握が更に深くできるのです。

以上、銀行別に月末時点の借入残高推移を把握する事で、非常に大事な分析ができ、「銀行の表には出ない、本音」を把握する事ができます。