第10話中小企業経営者のためのコラム

みなさん、こんにちは。株式会社Cozy Consulting 代取の坂口です。

今回が、第10回目のコラムになります。最近感じている事や、面白い話、興味の沸く話題があれば、それを題材に皆さまにお伝えしていこうと考えています。

第10話は、第9話に続いて、銀行は企業業績が悪化した時にどのような態度をとるのかについて話してみたいと思います。

“企業業績が谷”の状態に陥ったときに、銀行は貸出金の返済懸念が高まる訳ですからその“谷”の程度、状況次第で態度は当然に変わってきます。

 銀行は企業が業績が悪化して資金繰りが苦しくなると、まずはメインバンク、準主力銀行に相談するように仕向けてきます。全体の資金繰りの中で、各銀行が個別に資金繰りを支える融資をおこなうにせよ、まずは主力、準主力銀行が貸出をしたことを確認してから、融資する姿勢に変わります。

 主力・淳主力が貸出対応しないのに、取引ランクの低い銀行が貸出するのはおかしいですよねというスタンスに変わります。
中には一切の追加融資はしないと明確に断る銀行も出てきます。担保条件等が各銀行によって変わりますので、ある意味銀行の論理からするとそういう反応なってもおかしくありません。

 逆に担保が貸出以上にある銀行の場合は、その余剰の範囲でしか融資してくれない場合がほとんどです。
場合によっては不動産担保の場合、余剰部分の担保評価額で根抵当権を分割して他行に譲るケースもあります。
銀行は空担保といって余剰担保を抱えていることは、融資予約をしているとみなされる場合があるからです。担保ごと貸出金を他行に譲ることもあります。基本的に銀行は要注意先以下の債務者の貸出は増やしたくないのです。

 したがって、経営者は、各銀行別の借入金額と担保評価額のバランス(保全B/S)を確認しておく必要があります。
どこの銀行が担保余剰で、どこの銀行が担保不足になっているのか。個別に把握しておく必要があります。担保余剰の銀行には追加支援を求めていいわけです。空担保があり融資予約しているわけですから。

 担保余剰の銀行は、最終の元金ロスの懸念が小さいので、金利引き上げを要請してきます。金利を上げることで債務者法人がそれに耐えきれず、主力や準主力行に担保付きで肩代わりを要請する場合があり、それを狙っています。
当社の再建計画に支障が出るような銀行がある場合や担保付きで肩代わりすることで自行の保全B/Sが改善する場合、肩代わりするケースもあります。ケースバイケースですので、主力行とよく相談する必要があります。

 こういうシンドイ時期に、よく無理難題の条件を提示してくるのが越境地銀です。彼らは債務者法人の付合行の取引ランクが多く、営業面で稼げるので付き合っているというスタンスで企業業績が悪化すると、その会社の再建に深く関与するような姿勢を見せることは少ないと感じます。むしろ、支障になるケースが多いような印象です。

 したがって、経営者は地銀・第二地銀の越境支店との取引には、慎重に取り扱う必要があると思います。

 本日の話しは、ここまでとさせて頂きます。