第70話 自社が要注意先と認定されたら発生する事象

みなさん、こんにちは。株式会社Cozy Consulting 代取の坂口です。

今回が、第70回目のコラムになります。

第70話は、「自社が要注意先と認定されたら発生する事象」いう話です。

最近相談を受けた取引先の具体的な事例です。

その会社は、新築戸建ての小規模デベロッパーです。一定の地域で新築戸建を供給されている会社です。売上高は10億円に届かない規模ですが、小人数でビジネスを回されています。

大規模開発を行う体力はなく、1戸や多くても3戸までの戸建ての新築建売を建築・販売を生業とされています。正直なところ、財務体質は弱く、地元信金、信組、第二地銀から土地の仕入れ資金を調達し事業を回されています。

年明け以降、エンド顧客の購入意欲は低調で、予定通りの価格で予定通りの時期に売却ができず完成在庫が何戸か残り、それが資金繰りを圧迫させている状況です。手元現預金はどんどん減少しています。

小規模金融機関との銀行取引構造でメインバンクに位置づけされる金融機関はなく、資金繰りの相談を持ち掛ける金融機関は見当たらない状況です。各金融機関は不動産市況が好調な時に新規貸出取引を始めた経緯があり、取引の歴史は浅い状況です。

マル保融資で資金繰りをつないでいますが、本格的に資金繰りをプロパー融資で支える金融機関は見当たらず、どうやって事業を継続していくか打開策が見つからない状況に陥っていました。

直近月の試算表では、単月赤字が発生し、完成物件が予定通りの価格で早期に販売できないと更に資金繰りが悪化し、損益も赤字が拡大する懸念がある状況です。一方で、短プラの上昇で借入金利は今後上昇してくるものと思われます。一部の金融機関からは引き上げを打診されていました。

また、一部の地銀が、PJ融資のプロパー融資の返済を求めてきているとの事でした。物件が販売できなければ返済はできませんが、それをわかっていながら約定条件通りの返済を求めてくるのです。おそらく結果的には、一部内入れを求めてきて、金利を上げて、3ヶ月の期限で延長をするかもしれません。

金融機関内部では、毎月、試算表の提示を求め単月赤字、累計赤字と認識できればそのタイミングで債務者区分を要注意先にランクダウンしている可能性が高いです。

要注意先に指定されると、貸出取引は後退方針となり、まず金融機関が対応するのは、貸出金が担保物の物件評価を上回っている場合、その超過部分を必死に圧縮しようとしてきます。つまり、破綻しても貸出金は担保物の評価の範囲内に収まりロスが出ないようにするのです。それと同時に、与信リスクが高まりますので金利引き上げを求めてきます。

他行よりも金利設定を高くすることで、他行への肩代わりを慫慂するのです。こうなると長く安定した今後の貸出取引は、その金融機関とは望めません。

後退方針の金融機関とどのように付き合うか、向き合うか、その対応方法はあります。金融機関の態度に惑わされず、本業の立てなおしを進めながら新たな銀行取引構造を進める方法です。

今回、相談を受けた先と新たな事業の再構築と金融機関取引構造の見直しを進めていくか協議を進めていこうと考えています。

今日はここまでにしておきます。

最後までお読み頂いて、ありがとうございました。