みなさん、こんにちは。株式会社Cozy Consulting 代取の坂口です。
今回が、第9回目のコラムになります。最近感じている事や、面白い話、興味の沸く話題があれば、それを題材に皆さまにお伝えしていこうと考えています。
第9話は、銀行は企業業績が悪化した時にどのような態度をとるのかについて話してみたいと思います(第2段です)。
“企業業績が谷”の状態に陥ったときに、銀行は貸出金の返済懸念が高まる訳ですからその“谷”の程度、状況次第で態度は当然に変わってきます。
銀行から見た場合、企業への貸出金の利息部分は儲けの部分なので最終ゼロでも会計上取れなかった儲け部分として償却することは比較的難しくありません。
2年間は「決算計上未収利息」として回収できていなくても収益として捉えることができます。2年を超えるとその未収利息は、焦げ付き未収利息として儲け(利益)から控除する必要があります。これは、あくまでも会計・決算上の処理です。
現場ではどうかというと、延滞が始まると利息は関係なくなります。どういうことかと言うと、お客様が返せる余地があるのであれば、利息として頂かず、元金として受領したいということです。
銀行の貸出金の元金は、平たく言うとお客様からお預かりした預金を信用創造で貸出に回しています。お客様から預金の払い出しを求められた時には、払い出しに応じる必要があります。したがって、貸出金の元金部分は絶対にロスできないのです。
貸出金の未収利息は、自分の儲けなので回収できなかったとしても、儲けがなかったとして簡単に諦められる・償却できます。
然し、元金部分は人から預かったお金なので、返ってこないと返ってきませんでしたと簡単にはかたづけられないのです。
元金ロスが発生すると銀行は自分のお金で最終処理をする必要があり、銀行財務が悪化し他行比劣後します。すると無用な悪風評リスクにさらされさらに世間の評判を落としかねないことに繋がる懸念があります。
従って、銀行は元金の返済懸念にはすごく敏感にならざるを得ないのです。企業の業績悪化が続けば、銀行の元金返済の圧力は非常に高まります。
そして、時間の経過の中で元金ロス懸念部分の償却の目途(銀行の自己資金でロスを賄える目途が立つ)がたてば、回収できない可能性の高いロス懸念部分を長く持つことはしません。
低価格でサービサーに売却し銀行の資産部分(BS)から切り落として自行の自己資本比率を高く維持しようとします。
従って、昔の昭和以前の時代のように、粘り強く企業に伴奏し業績の回復を待つ、協力して良くなるまで待つという姿勢はなくなっているのです。
業績が悪化すると各銀行の逃げ足は速いものと認識するべきだと思います。場合によっては、メインバンクから逃げ出すケースもあります。
現在は、企業は最後まで銀行に頼れる時代ではなくなってきているのです。企業経営者はそのことを自覚された方が良いと思います。
非常にドライな銀行と企業の関係の時代になってきました。企業業績が好調な時はお互いに持ちつ持たれつで、Winwinの関係でよいと思います。
然しひとたび、企業業績が谷に差し掛かった場合の、銀行との付合い方に備えて、日ごろから企業経営者は準備すべき事は準備していかねばならないと考えます。
弊社コンサルティングでは、平時から押さえるべき銀行取引の5つの急所として、ご説明しております。まずは、セミナーに参加されその一端の情報に触れることをお薦めします。
本日の話しは、ここまでとさせて頂きます。